リスクアセスメントの必要性
化学物質を取り扱う際に行う以下のリスクアセスメント(危険性評価)が、法令により2016年6月1日から義務化されました。
<概要>
- 化学物質を取り扱う際に生ずるおそれのある負傷・疾病の重篤度と発生の可能性を調査し、労働災害が発生するリスクの大きさを評価する。
- 評価結果を踏まえて、労働者の化学物質へのばく露防止のために必要なリスク低減措置を検討する。
- リスク低減措置の実施は、現時点では努力義務である。
SPring-8/SACLAでの利用実験において使用する化学物質もリスクアセスメントの対象となり、実験を行う当事者自身がリスクアセスメントを行う必要が有ります。実験責任者には、課題申請の際に化学試料のリスクアセスメント結果を記入していただき、JASRIは安全審査においてそれらの結果を参考にします。
リスクアセスメントの対象
- 法令で定める物質については、リスクアセスメントが必要です。
- その他の化学物質についても、出来るだけリスクアセスメントをお願いいたします。
- リスクアセスメントは、持ち込む測定試料だけでなく、SPring-8/SACLAにすでに準備されている物質も含めて、実験で使用する全ての化学物質について、行ってください。
- 使用する化学物質が密封されており(例えばキャピラリー、ガラス瓶、あるいはジッパー袋に密封)、SPring-8/SACLAサイトに滞在中は密封試料を開封することなく実験および作業を終了する場合は、人体へのばく露がありませんので、リスクアセスメントの対象外とします。
リスクアセスメントの方法
- リスクアセスメントは、課題申請書毎に行ってください。
- 各実験責任者の所属機関において行われたリスクアセスメントの結果を、課題申請書(Web)に記入してください。「安全に対する記述、対策」に記載場所があります。
- もし所属機関でリスクアセスメントが行われていない場合は、簡単に評価できる方法として、以下のコントロールバンディング法を推奨いたします。
- コントロールバンディング法では、固体・液体の場合しか評価できません。気体については、評価しなくても結構です。
- 評価方法について不明な点があれば、JASRI安全管理室(E-mail: safety@spring8.or.jp, Tel: 0791-58-0874)にお問い合わせください。
評価の記入
- リスクアセスメントの評価結果をリスクレベル欄のプルダウンメニュー(5段階または4段階の数字)から一つ選択してください。値の大きい方がリスクは高いとします。評価結果の意味は、紹介した厚生労働省のリスクアセスメント実施支援システムの場合は、次の通りです。
- 5:とても大きくて耐えられないリスク
- 4:大きなリスク
- 3:中程度のリスク
- 2:許容可能なリスク
- 1:些細なリスク
- プルダウンメニューに適切なものがない場合は、「その他」を選択し、備考欄に評価結果(例:7段階でレベルが3の場合は、“3/7”)をご入力ください。この場合も、値の大きい方が高リスクとします。評価対象外の場合は、「対象外」を選択してください。
- 厚生労働省推奨のコントロールバンディング法以外で評価をした場合は、備考欄に評価方法の名称とその評価結果の内容(危険性や示された対策など)を記載してください。
- リスクアセスメントの結果、安全対策が必要な場合は、安全対策欄に対策を記載してください。
- 化学物質の使用量が非常に少ない、あるいは作業時間が短いなど、評価結果が高くても実際には低リスクが想定される場合は、その旨備考欄に記載してください。
その他
- 厚生労働省が提供するリスクアセスメント実施支援システム(URL)を利用する場合、課題申請締切前はアクセスが集中し予期せぬ動作不良等の発生も考えられますので、時間的余裕をもってご利用ください。外部サイトのため、問題が発生してもJASRIでは対応しかねます。
- リスクアセスメントの評価結果はJASRIによる安全審査の際の参考値として取り扱います。申請課題の採否に直接影響を及ぼすものではありません。
参考
労働安全衛生法の改正およびリスクアセスメント